満足度:★★★☆☆
題名:夜に星を放つ
作者:窪美澄
短編集が5作品くらい入ってる感じ。
どれも夜の星が出てきますが、特に重要なキーワードとも思えません。夜に夜空を眺めたら星は見えるからでしょうか。
わたくしは基本的に短編よりも、一冊で話が続いてる方が好きです。読み応えもありますし、登場人物の掘り下げもできますから。
しかし、今回読みながら内心(短編の方が良いかも)って思ってたら、2話で話が変わったのでホッとしました。
1話からそうなのですが、全て読み終えた感想を一言で表現するなら。
「暗い」
です。夜空とか星等がキーワードになるから暗く感じるのかもしれませんが、どの話も大抵主人公が不幸を背負ってます。大した不幸でもないかもしれませんが、陽気でハッピーな日々ってわけではありません。
例えば1話のネタバレで、アプリで知り合った男性を偶然見かけたら妻子がいたとか。
そこから大逆転とか復讐劇とかではなく、淡々と主人公の内面を表現しながら明日も生きていくしかない、みたいな。
わかる人にはわかるって作品ですかね。
というと、どの作品も「そりゃそうだろう」ってなりますよね。本屋大賞受賞しても何一つ響かない人もいたら、直木賞が全く肌に合わない人もいるだろうし。
暗い内容は仕方ないとしても、その案件をどう乗り越えて前向きに生きていくのか、とか。辛い事があったけど今は幸せな人と出会って、どの出来事も自分の人生で、あの辛い出来事があるから今があり、この人と出会えたんだ。
って前向きなのが何一つ無いんですよ。ただただ暗い。
けど、取りようによっては現実世界でも同じかそれ以上に暗く辛い出来事を体験してる人は山ほどいるんでしょうね。だとすると、自分が不幸だついてないとか思って読んでたら、わりと自分は恵まれてる方なんだなって、思い直すかも。
それが作者の意図かどうかはわかりませんが。
後は時代背景がコロナなんですが、コロナを体験した人は当然大きな出来事でしょうけど、10年後20年後に読む若者からすれば、なにこの設定ってなるでしょうね。
スマホやケータイが無い時代背景だと、公衆電話使ったり、なかなか連絡取れないもどかしさとかを逆に利用して物語りができるけど、マスクしてソーシャルディスタンスとか、後の時代に理解できるのでしょうかね?
当然、コロナの最中に執筆したのでしょうけど、文学作品って今トレンドじゃなくて、後世の人がいつ読んでも感じるものがあるってのが面白い作品なんじゃないかなって、持論ですが。
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