人生あみだくじ~低所得者の節約一人暮らし日記~

50代 一人暮らし 節約とストレス発散のバランス生活ブログ

【読書感想】今宵も喫茶ドードーのキッチンで。【標野凪】


原作:標野凪
題名:今宵も喫茶ドードーのキッチンで。
ページ数:238ページ
双葉文庫
満足度:★★★★★★★☆☆☆

───あらすじ
住宅地の奥にひっそりと佇む、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ込みたくなったお客さんがふらりと訪れる
SNSで発信される〈ていねいな暮らし〉に振り回されたり
仕事をひとりで抱え込んだりして、疲れたからだと強ばった心を、店主そろりの料理が優しくほぐします───

プロローグ
第一話 自己肯定力を上げる夜間コーヒー
第二話 心が雨の日のサンドイッチ
第三話 自分をいたわる焼きマシュマロ
第四話 森のおとしものと森のおくりもの
第五話 幸せになる焼きリンゴ


毎日1話読んで1週間まったり過ごすつもりが、週末が立て込んで4話で止まってて。
勘違いでもう1週間借りれる期間があると思ってたら返却期限日だったので、図書館で第5話を読み終えて返却。

私事は置いといて、内容の感想ですが、まず「ホッコリ」します。
ホッコリが足らない方にはオススメ。
サスペンスとか推理とか、没頭したい人にオススメする本ではありません。
作中でも5話全てに、人生に疲れている人が主人公になります。
作品の主人公は、喫茶ドードーの店主「そろり」なのですが、敢えて出しゃばらず、けど疲れた主人公に寄り添う様に迎えてあげる。
もう実際に合ったら絶対行きたくなるお店。
リアルでもこんなホッコリできる喫茶店に巡り会いたいです。

喫茶ドードーは、おひとり様限定のカフェで、カウンターには5脚、あと外にもスペースがあります。
おひとり様限定なのに5脚?
わたくしの読解力というか理解力というか、鈍いなぁと笑
店内は5人程度は利用できるけど、お客様は必ず1人で来店してねってことなんですね。
まぁそこは重要では無いのですが、こういうお店好き。
茶店に限らず、常連客が幅利かせてるお店は一見さんには敷居が高いんですよね。
だから、常連客でも1人で来てたら店主がほか事してる時は喋らず大人しくしてるじゃないですか。
そういう雰囲気が好き。
まぁ作中では流行っていないらしく、話の主人公が訪れる時は必ず貸切の様に1人なんですけどね。
しかも、手書きのメニュー看板には、主人公が今望んでる様な解決法のメニューが書かれてます。
そういうのを見ると、幻想的というか喫茶ドードーは存在しない店なのかなって、非現実的に思えます。
しかし、後半に偶然訪れた話の主人公が「そろそろ来そう」って店主の「そろり」がメニューを支度します。
なので、幻想的でも幻でもなく、普通に作中に存在してるお店として活躍します。
ただ、木が生い茂ってる場所にある為、誰でも彼でも辿り着けない、そんな雰囲気の場所にあります。
なので、作中で困ったストレスモヤモヤ、そんな状態だと導かれる様に喫茶ドードーに巡り会います。

時代背景はコロナ真っ最中。
それを逆手に取って、人々の苦悩を上手に描いております。
5年後10年後にも読んでホッコリ出来ると思いますが、コロナを知らない世代が読むとどう受け取るのか。
この辺が難しく判断分かれるところかなと。

過剰な消毒やソーシャルディスタンスが、後々の時代で馬鹿らしく思える事は多々ありますからね。
そういった所で、後世にこの作品の評価が落ちるのは芳しくないです。

時代はコロナであっても、いつの時代も人間は人間関係に悩まされたりします。
何も悩みの無い人生はそれはそれで悲しいというか成長が無いので、ある程度の悩みは必要悪。
その悩みを、誰かが手を差し伸べて、気付き、自分で乗り越えて、より豊かな人生に1歩踏み出す。

幼少の頃は困ったら大人がなんでも助けてくれる。
自分が大人になったらそうはいかない。
理不尽な事でもグッと堪えなければならない。
けど、我慢ばかりでは自分が壊れてしまう。
そうなる前に、そっと助けてくれるのが喫茶ドードー
直接的な解決法を教えてくれるのではなく、何かヒントをくれる、そんなメニューがある喫茶店

これは店主の「そろり」が辛い体験をして、暇が無い、だから仕事を辞めたら今度はする事が無い。

そういえばそうだなと。
また私事ですが、土日の連休を手に入れても次はお金が無い。
だからする事がなくて1日を無駄にしてる。

適度な仕事と適度な自由な時間。
少しばかりのお金が人を幸せにしてくれるのかなと。

作中は全ての話が繋がってます。
どこかで見かけた何かが、別の話で出てきたり関わっていたりと、喫茶ドードーを中心に誰かが誰かの役に立っているんだと気付かされます。
逆に描かれてませんが、誰かの迷惑になる事もあるんだなと思い知らされます。

こういうシナリオ設定は、大好きな「青山美智子」氏が得意としますね。
おそらくそういう「ここで出るか」って設定が上手なんですよね。
作者が影響受けてるか読んだこともないのかはわかりませんが。
「伏線回収」とはまた違うんですよ。
そういう本人は気付いてないけど、実は共通の場所があり、そこで間接的に繋がってました。
その物語を、話ごとに分けて読んでると「ここで出るか」ってのがたまりません。
なので、話数は最初は普通に読み、次、また次って読み進めると自然と登場してたりします。
結局、その繋がりを悪事と表現するか、癒しと表現するか。
困った時に助けてくれた恩人が実は家族を殺した犯人だった、とか。
そういうのが好きな人は読めばいいけど、体質的に無理です、癒しを求めてますって方には、喫茶ドードーのような本が合ってる。

平凡な物語だと話が進まないので、必ず問題というか悩みが出てきます。
それに対してなんらかのきっかけで考え改め、改善されていくストーリー。
たまに救いようのない、後味悪い作品とか読むと二度とこの作者のは読まない、寧ろオススメしてきた業者を呪うってなりそう笑

ほっこりしたい時、したいって人にオススメです。
って、薦められたけど全然ほっこりしないし後味悪いぞ!
って呪われたらたまらないから、選択は個人の自由におまかせですね笑
amidax.hateblo.jp

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