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【読書感想】赤と青とエスキース【青山美智子】


原作:青山美智子
題名:赤と青とエスキース
ページ数:240ページ
出版社:PHP研究所
発売日:2021年11月10日
満足度:★★★★★★★★★☆

あらすじ
───メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」
日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく───


青山美智子氏の作品は大好きで自分に合ってるので高評価になりやすいです。
しかしこの作品は読み始めて第一章が終わる頃は評価は★7個くらいかなと思ってたのが正直な感想です。

全部で四章まであるのですが、どうなるものかと第二章を読み始めてホッとしました。

理由は、第一章が暗くて切ないからです。
第一章だけネタバレをするなら、オーストラリアに住んでる日本人のブーと交換留学生のレイ。
ブーの知り合いらしい現地の若手画家志望のモデルを頼まれ、仕方なく務めるレイ。
日本に帰る1年という期間限定で付き合って、もうすぐ帰国する間際での絵のモデル。
その絵のタイトルが【エスキース
エスキースの意味は下書きの下書き。
漫画で言う所のラフ画、コマ割り、ネームみたいなものでしょうか。
舞台設定が異国なので、どうもイメージ湧きにくく女の子のレイも暗いというか、現地の人達に馴染めず苦悩が描かれている。
青山美智子氏の恋愛系は少し暗く切ない印象があるので、どうしてもこのテンションで続くのは耐えられないというか、勿体ないなと思ってました。
期間限定の付き合いをする女子大生だと、どうしても純愛に程遠い印象。
相手のブーも、現地の女の子と誰とでも仲良くするタイプだし、一旦帰国して他の恋人と付き合ってるけど、過去を引きずるとか、なんかハッピーエンドでも喉に小骨が刺さった様な印象になるんですよ、わたくしが。

第二章を読み始めて、結局最後まで【エスキース】というあの絵が巡る展開だったんです。

第二章では額縁屋さん。
第三章では漫画家と、エスキースの絵が偶然キーワードになって物語が進んで行きます。
青山美智子さんお得意の、こんなとこで前章に出てた人や物が出てきてるってのが、エスキースって絵でした。

特に第三章の漫画家編は、インタビューを受けた店に飾られてただけというね、ホントに単なる偶然。
けど、漫画家編はその主人公のテンションが好きで「青山美智子さんの書くこういうテンション」と言わんばかりのキャラでした。
ウジウジせず、不器用だけど前向きで、何かのきっかけでひとつ大人に成長する、みたいな。
そうそう、こういうのが読みたかったのよ、ってね。

前回読んだ「月の立つ林」も少し暗めで、せっかく借りれた青山美智子氏の作品が2作連続暗めの恋愛系はちょっと残念な気持ちになりそうでしたからね。

読み進めて行くと、そういえばエスキースの絵を描いた時代背景から何年後なんだろう? って疑問が浮かびます。
深く考えないでただ読むだけなので、気にしないのですが要所要所に何年経ってるか分かるようになってます。

絵画って、やっぱり売られたりして色んな持ち主の所を転々とするんだなと。
それでも、モデルの人は歳を重ねることなく描かれた当時の年齢で時代を流れるのだと。

せっかく描いたのに、描いてるシーンが描かれてるから知らない誰かの手元に渡るのって寂しいなと。
けど、描いた画家がそこそこ有名になって行くので、エスキースもそこそこ人気が出てくるのでしょう、と思うことに。
買ったけど、いつまでも保有できるかはその人次第だし、経済的理由とか、高値が思ったより付くとか色んな理由がありますからね。

第二章で額縁を頼みにきた画商
第三章でインタビューを受けてる場所提供の喫茶店
第四章では雑貨店に勤める中年
それぞれの人間模様が描かれ、良くも悪くも色んな考えや気づきがあり、エスキースはそれを見てるんだなと。

エスキースは赤と青の絵の具だけで描かれてるます。
後の章のタイトルも、赤と青に因んでます。
そういう紡ぎ方が、青山美智子氏の得意とするとこ。
宝探しじゃないけど、ちょっと話を前章に戻って確認して、気付かせてくれるのとかが読んでて楽しくなるし、上手だなーって。

最後まで読んで、限りなく★10に近い9です。
5段階だと4は付けれず5にするかも。
それくらい最後まで読んで欲しいおすすめの作品です。

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