満足度:★★★★☆
面白かったです。土曜日の夕方から読み出して、火曜日の夜には読み終えました。読むスピードが早いのは面白くて続きが気になるって内容と、読みやすい文章です。
主要人物は女子高生3人で、その1人が転校して来て、神様の見張り番をしてると主人公の女の子に言います。ファンタジー要素を最初に持ってきます。
そして最後に神様の見張り番の意味がわかるのですが、主人公の女の子は普通の女子高生。2人と友達になれたものの、内に秘めてる何かを感じ、普通ではないと劣等感を持ちます。
敢えて主人公を普通の女子高生にし、友達に普通ではない何かを持たせますが、それが実は本人達には劣等感でしかない部分。それを上手く表現出来てるのが良かったですね。わたくしの言い方では上手く伝わらないかもしれませんが汗
普通過ぎて周りの何かを持ってる特別な感じに憧れる。一見、高校生は誰しも隣の芝生は青い感覚かなと思いますが、結局普通って有難くて大事なんだと思わされます。勿論、何かしら特化した技術や能力があれば素晴らしいことなんでしょけど、それを生かすも殺すも気にしないも本人次第で、憧れたり羨ましがるのは周りの勝手ですからね。
変に、というか殆ど恋愛要素はありません。全国の女子高生が全て恋愛一直線では無いと読んでて思わされます。表紙見ても女子高生ですからね。しかしこれは女子高生の友達関係の話であって、出てくる男子はオマケです。そこがまた良いですね。男子に媚びない、深く関わらない、けど高校生だから普通に隣に居ますから。
なるほど、と思った部分を少し。
「友達以上恋人未満って言葉が嫌い。いつから友達って恋人より下になったの？」
こんなセリフが出てきて、そうかそうだよなと感心しました。勿論、恋人が発展して入籍すると家族になりますが、恋人の段階では友達より上とは限りませんよね。まぁこの辺は意味の取り方でなんとでも言えますからね。男女の友情は有り得ないとかなんとか。けど、恋人と喧嘩しながらも長く続きやがて結婚すると毎日顔合わせて何十年も共にしますが、友達と長く関係続くって難しいですよね。けど、互いに恋人が出来ても別れても、友達は変わらず続く関係って人達も居るだろうし。奥が深いです。
「好きになった人が普通だったら好きになってないの？」
なんかそんなニュアンス的なセリフがあったような無かったような。
とにかく主人公は普通というのに物凄く劣等感を持ってます。
けど、世の中一般的な人や平均的な人は居ますし、居るから平均なんだと思いますが、誰1人として普通の人って居ないんですよね。じゃあ普通ってなに？ ってなりますから。
普通じゃないって語弊がありますが、例えば、例えばですけど、両親がいて兄弟が居る4人家族で夕飯はいつも4人揃って食べてるとか、これがアンケートで上位にくる普通だとするなら、普通な人は多く居ます。が、それぞれ進路は違うだろうし、住んでる地域も田舎だったり海沿いや山奥だったり。じゃあそこそこの街に住んでて親も借金で困らない程度に進学に悩まず、そこそこの大学出て実家暮らしで就職。普通。平凡。って想像しますが、これ実はむちゃくちゃ恵まれてると思いませんか？ わたくしみたいな田舎暮しで、夜ご飯がカップラーメンとかの生活を送ってて、久しぶりの餅がご馳走だわバンザイ！ とか言ってる様な人間からすれば羨ましい代わってよってなります。
要は本人がどう現状を取るのか、ですよ。そこまで作者が考えてほしくて書いてるかどうかはわかりませんが、この作品を通して「普通」の有り難さに考えさせられました。
おそらく、というか間違いなくこれも山陽新聞のおすすめで見つけて予約したかと思います。
前回読んで書いた本、推薦者が同一人物では無いと思いたいですね。
ポチっと押してくれた全ての人に感謝です
