人生あみだくじ~低所得者の節約一人暮らし日記~

50代 一人暮らし 節約とストレス発散のバランス生活ブログ

【おすすめ】お探し物は図書室まで【感想ネタバレ】


著者は青山美智子さんで2020年に発売され、2021年の本屋大賞2位になった小説です。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ
わたくしも多分、本屋大賞の広告で見つけて予約したのだと思われ、先日順番が回ってきたので感想を書きますね。

作品は五章に分かれていて、それぞれの章で主人公が変わります。


二章目を読み始めれば皆さんお気付きなると思いますが、同じ時系列です。


その作中で、キーワードになるのがタイトルにもあるように、図書室です。


この図書室は、区民なら誰でも自由に利用できるコミュニティハウス内にあり、各章の主人公が偶然利用して物語は始まります。


図書室の司書である「小町さゆり」が、主人公に必要な書物を紹介し、それがゆくゆく主人公の悩み解決の糸口になっていきます。


全体の流れはこんな感じで、主人公の置かれている立場によって物語の内容は違ってきますが、それぞれ悩みがあり、それを紹介してくれた書物がヒントになり、未来が拓けていくのが読んでて幸せな気分になりました。


これは恐らく、著者の青山美智子さんの人柄が作中に出ているのだと思います。


わたくし、漫画でも小説でも、キャラの性格は原作者の生き写しが強く出ると勝手に信じ込んでるタイプですのであしからず。

一章 ◆ 朋香 二十一歳 婦人服販売員


イオンの様な商業施設で働いてるけど、全国規模じゃない感じの総合スーパー、就職内定を貰ったのがそこしか無かったからやり甲斐もなく働いてる主人公の朋香。


料理もあまりしないで、仕事も限られた短い休憩時間に客の応対があると、つい身も入らず休憩を優先してしまう、仕事に対してそんな取り組み方だった。


転職も考え、コミュニティハウスを訪れると図書室がある事に気づき利用することになる。


司書に推薦された本は「ぐりとぐら


ぐりとぐらの作中にある「カステラ」を作ることによって、主人公の朋香は意識が変わってきます。


人によっては、カステラではなくホットケーキだと思ってたり、動物が集まってケーキを食べるだけの絵本と思ってたり様々です。


作中で休憩時間前に応対したお客が、クレームを付けにやって来ます。


逃げる上司に嫌気もさしながらクレームを聞いていると、そこにベテランパートの人が間に入ってくれた。


実はこの人、休憩時間が少しでも遅れると注意してくるので朋香は苦手としていた。


しかし、物の見事にクレーム付けてきたお客をなだめ、更に買い物をして帰す所を見て尊敬の眼差しになります。


結局、今の仕事が「たいした仕事じゃない」という勘違いを、自分が「たいした仕事をしていない」という事に気が付きます。


ベテランのパートの人には「続けているうちにわかることがある」と聞かされ、心の底から凄いと思います。


ぐりとぐらを読んで自分もカステラ作りに挑戦しますが、最初はなかなか上手くできません。


しかし、失敗を繰り返して行くと、これから習得していけばいいと前向きな気持ちになります。


───続けていけばわかることがある。


一生懸命するから失敗を悔やみ、次こそ成功しようと考え経験を積んで行くのだと思いました。

二章 ◆ 諒 三十五歳 家具メーカー経理


高校生の頃に憧れたアンティークショップをいつか開きたいと思いながら会社員として働く主人公。


起業の本を借りようと司書が紹介してくれた中に「植物のふしぎ」という本がありました。


本を読むうちに、植物は花や実だけではなく、根も同じように大事なんだと気付かされます。


コミュニティハウスのチラシを見て伺った時に聞いた、パラレルキャリアを思い出します。


店主は週末だけ好きな本屋をオープンしますが、平日の会社員があってこそ両立できるのだと教えてくれます。


主従関係が無い、これが植物にも人間関係関係にも言える事だったのです。


年下の彼女への、くだらないプライドを捨て主従関係の無い気持ちに切り替えます。


───時間がないなんて言い訳はよして、ある時間で、できることを考えていく。


いつかが、明日になる。

三章 ◆ 夏美 四十歳 元雑誌編集者


出産を機に雑誌編集部から資料部に移動させられて夏美は、やり甲斐の無い中で子育てと両立していた。


司書に紹介された本は「月のとびら」


自分と代わるように入ってきた若い編集者から、かつて自分ご担当してた先生のトークイベントに明日行けるかと言われ即答します。


その為に本日発売日に新刊を買うが読み切ることが出来ず、寝落ちしてしまったために子供は朝からクシャミをしています。


結局、保育園から呼び出しがあり、トークイベントに参加もその後の先生とのお茶の約束も果たせずに自宅へ帰ります。


キャリアを捨てて子育てしてるのは自分ばかりと旦那を責めます。


先生は、独身が既婚者を、既婚者が子持ちを、子持ちが独身者をいいなと思って、ぐるぐる回るメリーゴーランドに乗ってると比喩します。


どんな境遇にいても思い通りにはいかない、しかし逆に思いつきもしないサプライズが待ってたりするし、計画や予定が狂うことを失敗と思わず、変わっていくのが自分であり、人生と微笑みながら言います。


天動説と地動説。


自分中心で物事を考えると、被害者意識でしか考えられ無いことに気付きます。


地球は動いているのだから、朝や夜は来るものでなく、「行く」ものなんだと。


自分が動くことによって周りも動かし、そしてチャンスを掴みます。


───私も変わる。同じでいようとしても。
そして志は同じままた。
どれだけ変わろうとしても───。

四章 ◆ 浩弥 三十歳 ニート


デザイン学校に通ったが就職でつまずき、結局バイトも続かすニートの状態が続いた生活を送っている。


司書に紹介された本は「ビジュアル 進化の記録 ダーウィンたちの見た世界」




五章 ◆ 正雄 六十五歳 定年退職


四十二年間務めた会社を定年退職し、時間はあるが趣味がない主人公は、嫁から囲碁教室を勧められ、コミュニティハウスへ向かいます。


司書に紹介された本は「げんげと蛙」



にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ
PVアクセスランキング にほんブログ村